奥さまの主張 その三

周囲でバタバタと風邪をひいていくのでちょっと覚悟していたら、やっぱり咳とクシャミと喉の痛みが表れました。
「よしっ!!早期治療だっ!!」
とものすごく速やかにお医者に行ったら
「喉がだいぶ腫れてますね」
と言われました。

あんまり「早期」ではなかったようです(自覚症状がなかった)。
リンパ腺まで腫れてるので、もしかして相当マズいのか?

でも元気です。









エイタスになんと見られているかなど斟酌する気もない(まあ大部分の人たちはただ気付いていなんですけれど)一同は、 このグダグダな場どれほどグダグタな場 であるかに気付いていません。

彼らは彼らなりにこの場は、 次に誰がどんなボケ発言をしてくれるか予想もつかないスリリング極まる場 なのです。




まず、レベッカがクラビウス王を見上げて口を開きます。

「よろしかったですわね、陛下。 サザンビーク王国の滅亡の時が、チャゴス王子の命の灯が消える時 だそうですよ。」

「レベッカよ、ソレは何か意味が違っていやしまいか?」

レベッカは微笑みながら(もっとも光線の加減からか、 メガネの奥の彼女の目がどうなのか分かりません けど)


「あら、違いますか?ニノ聖下。」

とニノ法王に問いかけます。


「それほどは。」

ニノ法王は返答しました。




背後では

「ソレってそんな遠くないコトじゃないのか?」

「だよなー、てか滅亡の原因を作るのが…だろ?」

「祝福じゃないよな、ニノ法王のは呪いだよなー」



そんな ボソボソした声 がしています。




「何か言ったかね?」

クラビウス王は ステキな笑顔 でサザンビークの近衛兵たちに問いかけました。


もちろん彼らは、 先生に当てられそうになった生徒のように視線を逸らして俯き ます。


もちろんクラビウス王はそれで勘弁せずに、


「そこの君、今言った内容を復唱してみたまえ。もちろん、嘘偽りを述べてはならんぞ。」

とスマイルのまま兵士の一人を指さしました。




「…」

指さされた兵士は露骨に動揺した顔を一瞬しましたが、




「クラビウス王陛下に御万歳あれと申しましたっ!!」

と力いっぱい叫びました。




「おおーっ!!」

小さいが心からの感嘆の叫びが近衛兵たちから拡がりました。

そうですよね、つまりは クラビウス王が10000年も生きれば何も問題はない ことですから。


レベッカはそっと袖口からメモ帳を取り出して、 幹部登用候補者リスト と書いた下に、その兵士の名を書き込み、 非常時の機転がきくと付け加えました。




「まあそうですわね、親子揃って長生きなさるのが一番ですわ。」

奥さまも仰り、そして、そっと目頭を拭います。

マルチェロは、 誘拐犯のくせに 懐からハンカチを取り出すと、そっと奥さまに手渡します。

もちろんそのハンカチは バッチリアイロンがかかっていた ことは言うまでもありません。




「まあ、ともかく、だっ!!我が子というものは何をおいても可愛いものなのだっ!!」

クラビウス王は再び、国王らしい威厳と風格を取り戻した姿勢で叫びます。


「その通りですわ。それがあるべき人の情というものですっ!!」

奥さまも強く同意なさいます。




「兄貴、何でオレ、この場で悪役になってるの?」

ククールに縋りつくような瞳で見られ、マルチェロは思わず、


「お前がククールだからだっ!!」

と答えてしまいました。




物陰で見ていたエイタスは、まあ、ちょっとだけククールに同情しました。




「うわあああああんっ!!エイタスーっ!!オレ、すげぇかわいそーだよーっ!!エイタスーっ!!」

「エイタス?」

一同が一斉に、ククールが見た方を注視します。

エイタスは、ククールに少しでも同情してしまった 己を心から恥じ ました。




「…みなさまお集まりのようで。」

何と言うべきか困ったので、ボソっとそう言いながら出ていくエイタスを、ククールが嬉しそうに抱きしめます。




「おおっ、よく出てきてくれたなエイタス。 さっすがオレの心の友っ!!」

エイタスは、言葉にはしませんでしたが、


お前なんか友だちじゃない

と、 かなり真剣に感じ て、そしてマルチェロに あなたとは今度こそ、分かりあえる気がします という視線を送りました。





2010/4/18




あーあ、愚弟、とうとうエイタスにも見捨てられた。

そして 結末予測アンケート まだまだ設置してます。
二人の恋の行き方を想像して、べにいもにも教えてください。




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