いまはむかし その二

でも、「いまはむかし」と言えば、やっぱり今昔物語集かもしれない。
素晴らしい作品ですよ、夏の夜長にぜひお読みください。あれは









我はその世界を水底に沈めましたが、全てを滅ぼしたわけではないのです。

正しき者だけは救いあげて、そして七日七晩で創り上げた新たな世界に移しました。

その世界は、全ての「悪」から切り離された世界であったはずなのですが…不思議なものですね、やはりその世界にも新たな「悪」が蔓延ったのです。




我はいくつもの世界を創り上げました。

時には我のみで、そして時には幾柱もの神々と共に。

それらの世界は行き来することが叶う世界もあれば、そうでない世界もあります。

先に創られた。

後に創られた。

そういう時の流れも、本当は大きな意味を持たないのかもしれません。




我が何を言いたいのかって?

我はいくつもの世界を眺めながら、ある時気付いたのです。










浮かぬ顔をしていますね。

心配はいりません。

そなたの愛し子が地の底に達することはまだありません。

あの穴は、地の極への続く穴。

本来は、人の子が生き身で堕ちるべきものではありません。

そう、暗黒神が復活したあの時を除いては、どの人の子もあの穴に落ちて死んではいませんよ。











我が気付いたのは、どんな世界を創ろうとも、必ずや「悪」が蔓延るということ。

根本から消し去ったつもりでも、必ず「悪」は現れると言うこと。




とても不思議なことですね。

思いませんか?

我はとても不思議に思いましたよ。

まあ、一番最初に創り上げた世界の場合は ピー とか ポー とかの化身かもしれませんけれど。


まあ、 でもアレは我だけのせいじゃないしぃ


えー…何の話でしたっけ?

え?

分かる分かるって、何がです?

年をとると、すぐに本題から昔話に話題が逸れてしまうもの って


我はトシではないですよっ!?




まあったく、我をトシだトシだって… コレだけキャリア長いんだから、それなりにトシを食うに決まってるじゃないですか


もう、プンプン、怒っちゃうゾ?




だからソコっ!!生温かい笑みを浮かべるのは止めなさいと…





え?

違う?

別にコレは笑ってない?

むしろ笑える心境ではない?


愛する妻が、絶望のどん底に陥りつつあるというのに、笑えるはずがない と。




ああ、成程。

ここではもう、強い感情というものは消え失せて、平穏のみが残っているのかと思いましたが。


まあそうですね。

わざわざ地上まで戻っていって、彼に会ってその意志を確認したそなたですものね。



まあ待ちなさい。

あなたの言いたいことは後で聞きましょう。

まずは我の話を聞きなさい。




我は、幾多の経験を経て、「悪」を根本から排除するということを止めてみたのです。

止めて、そして我はこの世界の人の子に自由意思を与えました。








自らの判断で選びとるものが、善か、はたまた悪か…




それを黙って見守ってみようとしたのですよ。





まあ、 人の子の行動が余りに愉快 なものだから、あんまり黙っていられませんでしたけど。













そろそろ、我の意図が分かりました?




2010/8/14




拙サイトの「このお方」は、設定は一応作ってあって、ご想像の通り「あのシト(人じゃないけど)」ということで作っています。
でまあ「あのシト」は公式ではどうなってるんだろうと思って、歴代のゲームとか、書籍とかを調べてるんですが、そもそもロトシリーズと天空シリーズの「あのシト」は別人説が有力上に、「精○ル○○伝説」自体が、公式だけどいろいろはっちゃけてるし、何より8の世界とロトシリーズと天空シリーズのつながりもよく分からんので、つまりは 公式設定に忠実にしようと思ってもムリ だから、割とオリジナル要素が強くなっています(とうにご存じですね)
まあ、コンセプトとしては 中世の、各地の地母神を吸収してかなりいろいろ混濁しまくった、公式には子持ちでないことになっている聖母 という性格だけど、あの世界の教会では「天界の女王」「永遠の聖乙女」みたいな崇められ方をしているとか、そんなカンジです。

ますます良く分かりませんね。




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